殺人罪廃止
一昨日改正された刑法で、殺人罪が廃止された。つまり、昨日から、人を殺しても法的な責任を問われなくなったのだ。不謹慎な言い方だが、もう誰でも殺し放題である。
このとんでもない法案を提出したある議員は、その責任を問われ、多くの国民が銀資格の取り消しを求めたのだが、所属している党の処分が決定する前に、処分を待ちきれない勢力の手によって暗殺されてしまった。時刻は昨日の0時台だったため、それはすでに合法的な殺人とみなされ、警察による捜査は行われていない。
他の賛成派を表明していた議員も次々に殺されたが、議員の持ち物を盗む、あるいは破壊する、家を放火するなどの行為は法律で禁じられているため行われることはなかった。あくまでも命のみを狙われていることに気付いた議員たちは、次々と殺人が禁じられている他の国に逃亡しているらしい。
保険会社では、殺人により被保険者が亡くなった場合の保障が無効になり、多くの保険の外交員が殺害されたが、彼らの遺族に保険金は下りなかった。さらに、商店では、店員がタダで品物を譲ってくれない。挨拶の態度が悪い、等の理由で次々と店員が殺されていった。病院でも、患者の態度が悪い、医者の雰囲気が偉そうだ、などの理由で、やはり、手術中に患者をメスで殺したり、トイレに入った隙に医者が看護婦に殺されたりなど、血を血で洗う争いが続いている。命の現場とはよくいったものだ。

私はどうしているのかというと、昨日から何人か葬ってやりたい奴の顔を思い浮かべては殺人計画を考えつつも、玄関を出た瞬間に他の誰かから殺されてしまうおそれがあるため、ずっと自室に引きこもり、こうやってブログを書いている状態だ。
確かに、殺してやりたい奴の顔を瞬時に何人も思い浮かべることが出来るのだが、しかし、私を殺したがっている、または殺したいほど憎んでいる人の数はそれ以上の数が思いつく。今となっては、相手を憎むよりも、いっそのこと殺してしまう方が楽なのだから、今頭に浮かんだ全員が私の命を狙っていると考えて良いのだ。考えるだけで恐ろしい。
この法案に込められた政府の狙いは明らかになっていない。一部では、与党の勢力争いのためというまことしやかな噂もささやかれているのだが、その真偽は定かではない。
今1番の悩みは、私が死んで欲しくない、と思っている人のことをどう守るか、ということだ。私が直接人柱となり、その人の家の玄関前に座り込みをすることも考えた。でも、私を一番に殺したがっているのは、間違いなくその \"守りたい人\” 当人なので、のこのこ出向いて行っては、私がその人を守るより先に、本人に殺されてしまうだろう。
反撃しても法的には罪ではないのだが、そのせいで \"守りたい人\” が死んでしまっては本末転倒も甚だしい。今では、その人のためを思い、一歩でも側に近づかないよう、必死に努力している。まいったね、トホホ。
近づかないために努力する、という表現は不適切と思った方。それは誤解である。なぜなら、こっちが近づかなくても向こうから近づいてくる可能性だったあるのだ。私の命を狙いに。
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